ゴルフウエアの秀逸なるマイノリティー<グレイソンvol.1>

ルーク・ドナルドがRLXの次に選んだウエア

アメリカ発のゴルフウエアのイメージを思い浮かべてみる。素材の機能性は優れているけれど、サイジングやシルエットが日本人には合わない。リゾートやサーフィンのテイストが強く、カジュアル度が高い分、スマートさに欠ける。ゴルフウエアという枠を取り払えば、こうした認識は必ずしも当たらないのだが…。

今回紹介するグレイソンはアメリカ生まれでありながら、こうしたアメリカ発のゴルフウエアのイメージを軽やかにくつがえしてみせる。デビュー間もないながらアメリカのゴルフシーンに定着した、この気になるブランドの横顔を、日本正規輸入元であるキッチンの岡部成哲さんに聞いてみた。

Q グレイソンというブランドの生い立ちを教えてください

デザイナーのチャーリー シェファー(右)

A 2016年春にアメリカで誕生しました。正式な名前はグレイソン クロージャーといいます。アメリカのゴルフウエアはやはり西海岸発が多いのですが、グレイソンはニューヨーク生まれ。本社はマンハッタンから北へ1時間ほど行ったところにあります。デザイナーはラルフローレンのRLXでチーフデザイナーを務めていたチャーリー シェファー。彼が独立して立ち上げました。すでにRLXでゴルフウエアとして評価されていたこと、さらに彼自身もハンデが2~3というゴルフ好きだったということもあり、ゴルフウエアを手がけることになったようです。

Q アメリカ西海岸とグレイソンが生まれた東海岸では、ゴルフウエアに違いがありますか?

A ゴルフウエアに限ったことではありませんが、ロサンゼルスなど西海岸から生まれたウエアは、どちらかといえばリゾート感覚が強く、開放的で、カジュアル色が濃いのが特徴です。ところがグレイソンのゴルフウエアは素材、カラー、カッティング、どこを見ても西海岸発のウエアにはない、シンプルなデザインの中に都会的で洗練された魅力があります。ポロシャツやパンツを見ると、そうした東海岸のニオイを特に感じます。

Q 具体的にはどういった部分を指すのでしょうか?

A わかりやすいところではロゴのあしらいですね。グレイソンのアイコンはオオカミのモチーフなのですが、もしかすると気がつかないくらい、さりげなくデザインされています。またグレイソンはブルーを得意としています。ブルーの無地系ポロシャツといってもシャンブレーシャツのような浅い水色から、インディゴを思わせるネイビーに近いブルーまで、ブルーの種類をさまざまに表現しています。カラーバリエーションがずらりと並んだ光景は、上質なドレスシャツやニットウエアを眺めているかのようです。

Q 岡部さんのグレイソンとの出会いは?

PGAショーでのグレイソンのブース

A 2016年のPGAショーです。そのときのグレイソンのブースを見て衝撃を受けました、まるでアメリカのラルフローレンの本店を思わせるような空間でしたから。そしてディスプレイされていたウエアもその世界観とピッタリとマッチしていました。しかもゴルフウエアであるための機能的な条件をきっちりと満たしながら、どれだけファッション性をもたせるか? この難しい課題にしっかりと答えていました。

Q ブランドが生まれて2年あまりですが、アメリカでの評価は?

A 主に取り扱われているのは、コースのプロショップです。アメリカのゴルフウエアでムーブメントが生まれるのはプロショップから。街のゴルフショップは専門店というより、ゴルファーのためのスーパーマーケットといった位置づけです。ですからプロショップを足場としました。現在では全米トップ100にランキングされるコースのプロショップには、すべてグレイソンのウエアがあります。しかもメジャーブランドを押しのけて、メインブランドとして、ショップの中心にディスプレイされています。現在はイギリス、日本でも、アメリカと同じスタンスで展開されています。セントアンドリュースのオールドコースのプロショップにも入っていますよ。

Q プロゴルファーとの関係はどう築いていますか?

A グレイソンの成長を考える上でプロの存在は重視しています。現在、PGAツアーでは3人のプロがグレイソンのウエアを着て、トーナメントを転戦しています。中でもグレイソンのシンボルとなってくれているのがルーク・ドナルドです。以前、彼がRLXのウエアを着ていたとき、デザインをしていたのが、現在、グレイソンのデザイナーであるチャーリー シェファーでした。その当時から、ふたりは選手とデザイナーの関係を超えて、互いの才能を認め合う親友でした。ルーク・ドナルドがRLXから離れたあと、グレイソンのウエアを愛用するようになったのは自然な流れでした。グレイソンのウエアのよき理解者です。

 

岡部さんはチャーリー シェファーの仕事ぶりを、お金をかける(高い素材を使うとか、凝った仕様にするとか)ことでこだわりを作るのでなく、あたり前なことを見直しながらこだわりを生み出していくという。次回はそんなグレイソンらしいモノ作りについてうかがう。

 

岡部成哲/株式会社キッチン 代表取締役。高校、大学時代はゴルフ部に所属。アメリカ留学後、コンサルティング会社を経て、アパレルの世界に入る。PGAショーで出会ってから1年間交渉を続けて、グレイソンの正規日本輸入代理店に。

 

問キッチン tel:03-6412-8826