ゴルフウエアの秀逸なるマイノリティー<グレイソンvol.2>

 

登場してからわずか2年あまりで、名だたるアメリカのコースのプロショップに広がっていったグレイソンのウエア。アメリカの目の肥えたスマートゴルファーたちを振り向かせた、ウエアに注がれた思い入れを、前回に引き続き、グレイソンの正規輸入元であるキッチンの岡部成哲さんに聞いてみた。

Q ファッションシーンの最前線で活躍してきたキャリアを考えると、ポロシャツなどコットンを重視しそうなイメージもありますが?

A チャーリー シェファーの視線はあくまでシリアスゴルファーに向けられています。プレーにいちばん適して、着心地のいいポロシャツの素材は、コットンではなく化繊であるというのが彼の考え方です。多く用いられているポリエステル×ポリウレタン素材はハリを残しながら、軽くてしなやか。もちろん伸縮性もたっぷりと備えています。ところが一般的なゴルフポロにありがちな、スポーティとされながら、見方によってはチープにも思える、素材がもつ光沢感がありません。

また機能性のアドバンテージばかりに目が向けられるポリエステル×ポリウレタン素材ですが、実は少しくすんだ感じのパステルトーンはコットン100%では表現できません。この素材だからこそできる発色です。ゴルフをするための機能性は十分に備えながら、スポーティに振れ過ぎない。これはグレイソンのもち味のひとつです。

Q サイズ感やシルエットもアメリカからのインポートとは思えないバランスに見えます?

A 最近のゴルフウエアのポロシャツは素材の伸縮性が向上したせいか、細すぎるシルエットが目につきます。これはゴルフスタイルとして、あまりスマートなルックスとはいえません。もちろんオーバーサイズのようなゆったり感では困りますが、タイトになりすぎず、ゆったりしすぎないグレイソンのバランス感の方が、細身をアピールするウエアよりも上品に見えるのではないでしょうか。しかもインポートにありがちな、サイズのズレを感じることなく、自身のサイズそのままに選べばベストフィットになるはずです。

パンツもほどよい細身のシルエットで、きっちりと伸縮する素材によって、しゃがんだときもテンションがまったく気になりません。もちろんだぶつくこともないベストなバランスで作られています。そのために素材から開発に携わっています。

Q ゴルフウエアらしいポロシャツに加えられたグレイソンらしいファッション感覚とは?

A ポロシャツの襟に注目してください。ゴルフポロの襟はソフトで、着ているうちにヨレヨレになってしまうような心細いものか、それを避けるためにがっちりとしたリブ編みにして、ヨレない代わりに、襟が身頃から浮き上がってしまうようなものが多いです。そして崩れるのか、崩れないのかがポイントになり、あるべき美しい襟のカタチまで問われません。

このグレイソンのベーシックタイプのポロシャツの襟はリブ編みになっていますが、かなり薄手で身頃とも調和しています。着てみると、襟が襟腰(襟の折り返しから下の、首にそって立っている部分)にぴったりと付くのではなく、襟はわずかにふんわりとふくらんで、ラウンドしながらロールしたような状態に保たれます。これは実に上品で洗練された演出で、ゴルフポロでは見かけません。ボタンをひとつ外すのか、ふたつ外すのか、その違いはラフになるのかだけではないのです。もちろんこうした演出には、素材選びや襟腰をデザインするハイレベルなノウハウが生かされています。

Q 機能とスタイリングをとことん両立させようという姿勢は貫かれていますね?

A 秋冬になるとカシミアのニットウエアが登場するのですが、あえてカシミア100%では用いません。最近主流のハイゲージ風の繊細なカシミアセーターは軽くて、柔らかです。そのため素材の質にかかわらず、スイングを繰り返すことで擦れて、脇のまわりにすぐ毛玉がでてしまいます。そこでグレイソンはウールと混紡します。カシミアは多めにして、独特な質感は残しながら、ウールで毛玉がでにくいように強度を保つ。そのためのベストな配合を目指すところもグレイソンらしいこだわりです。

ゴルフウエアにふさわしい機能性と服としての美しさの完璧な融合。とかく機能ばかりが先走りする中で、グレイソンにはきっちりとファッション性も両立させた完成度の高さがある。それゆえにまだゴルフウエアとしてはマイノリティーかもしれないが、スマートゴルファーが理想とするスタイルを見つけ出せる予感がする。

 

岡部成哲/株式会社キッチン 代表取締役。高校、大学時代はゴルフ部に所属。アメリカ留学後、コンサルティング会社を経て、アパレルの世界に入る。PGAショーで出会ってから1年間交渉を続けて、グレイソンの正規日本輸入代理店に。

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