ゴルフを楽しんでいる間に、お金があなたのために働いてくれたなら?

Aiming for the good life !

2016-06-08-05.56.07

ゴルフを通じて人生を謳歌するDE読者の皆さまは、ビジネスやプライベートで忙しい毎日をお過ごしのことだろう。だが慌ただしい日々の中、ふと家族のこと、将来のことに考えをめぐらすことはないだろうか。日本ではファミリービジネス(同族経営)が全法人数の約90%を占め、経済を支える存在となっている。多くのファミリービジネスが団塊世代を中心に事業を営む中、経営者が「事業・資産承継」に頭を悩ませる時代となった。世界経済の先行きが不透明な今、このまま何も手を施さなかったら、成長した事業や築き上げてきた資産はどうなるのだろうか。そんな不安に駆られるのは一人だけではない。もしゴルフを楽しんでいる間、お金があなたのために働いてくれたなら? 資産運用とは、あなたのためにお金が自分自身で働いてくれるよう、道筋をつけること。このコラムでは、バトンを手渡す側、受け取る側双方にとって必要不可欠な資産形成について考えていきたいと思う。

まずは年初からの市場環境について振り返っておきたい。2016年の金融市場は大荒れの幕開けとなった。毎年末には各金融機関から翌年の経済や市場を展望するレポートが発行されるが、どのレポートでも年初からの急変は予測できていなかった。

主な要因は、昨年末に実施された9年半ぶりの米国の利上げだ。未だ経験のない金融緩和後の利上げにより、各国市場への様々な影響が懸念された。これに加え、世界に顕在する数々のリスク要因が投資家の感情を悪化させた。中国経済の失速、サウジアラビアとイランの断交、イギリスのEU離脱問題、北朝鮮のミサイル実験など、これほどの懸念が同時期に噴出しては金融市場には大きな痛手だ。

今年に入ってから世界株式は一時−15%前後まで下落した。中でもひときわ下落幅が大きかったのが中国株式と日本株式(どちらも約−22%)だ。一方で米国株式の下落率は9%程度だった。3月18日に行なわれた米国連邦準備制度理事会の公開市場委員会(FOMC)にて、年内の利上げを4回から2回へと緩やかなペースへ見直された。これにより報道では米国経済の不調を論ずる傾向が強まっているようにもみえるが、他の市場と比較すると米国株式市場は堅調なパフォーマンスを維持しており、むしろ米国経済の底堅さがうかがえる。

日本では最近の円高傾向から企業収益の低下懸念が頭をもたげ、株価の頭打ちが囁かれている。日銀や財政といった政府の景気刺激政策頼みのいわば「催促相場」といった様相の中、日銀の金融政策による効果の限界や政策手段のネタ切れ、アベノミクスの賞味期限切れなど、市場では否定的な意見も多く株価の見通しも悲観論に流れがちだ。しかし、株式アナリスト等による「バリュエーション(相対的な株価価値水準)から推して、日本株は売られすぎ」との見解もある。本コラム執筆時の3月下旬時点において、株価のバリュエーションを測る代表的な指標PER(株価収益率)からみても「売られすぎ」といえるのではないか。

日本株の低迷には、特に外国人投資家の日本株離れが大きく影響している。因って今後の日本株市場の見通しは、グローバルな市場を投資対象とし長期安定的な運用を手掛ける機関投資家等プロの投資家が、中長期的な視点で保有資産の配分を考える際に、投資先の一つとして日本株に魅力を見出すかどうかにかかっている。明るい日本の未来が描けなければ、世界の投資家が長期的に日本株に投資することは難しいだろう。そのためには「骨太」の実行力のある政策が打ち出されることが望まれる。財政再建、人工知能やロボット等優れたテクノロジーを国策として育てる産業政策、女性の社会進出・出生率の向上・外国人就労者の就業機会拡充の促進といった社会インフラの整備等、即効性はなくとも将来の日本経済の基盤整備・強化を目指した政策の実行こそ、グローバルな投資家から日本が再評価されるための方策なのではないだろうか。

世界中の様々なイベント、リスク要因や政治的な動きによって刻々と変化し、先を読むのが極めて難しい金融市場。日本の参議院選に加え、米国大統領選挙やEU離脱の可否を測るイギリスの国民投票など今年は選挙の年でもあり、その結果次第で金融市場はさらに激変する可能性がある。「運用といっても、この荒海の中で資産をどう守り増やしていけるのか」とお悩みの方も多いだろう。

資産運用もゴルフになぞらえることができる。ゴルフであれば、14本の武器をどの場面でどのように使いこなしてスコアをまとめていくのか。資産運用であれば、現預金、株式・債券、投資信託など様々な運用商品を駆使して、いつ何に投資しどういった運用戦略を考えるべきなのか。キーワードは資産運用の王道ともいえる「分散投資」だ。次回以降は、「なぜ資産運用が必要なのか」の基本のところから、「分散投資」のあり方まで、順を追って考えていきたい。

ゴルフも市場も、なかなか自分の思惑通りには動いてくれないもの。本コラムが、読者の皆さまがご自身の資産形成を見直すきっかけとなれば大変うれしく思う。