ベストスコアを支えてくれる仕事人/キャディ

特にプライベートなゴルフでは、セルフが幅を利かせて、キャディ付きのラウンドはちょっとした贅沢。それでもキャディのアドバイスによって、ミスショットが防げたり、心が和んだりした経験は、ゴルファーなら誰でもあるはず。もちろん当たり外れがあるという声もあるが、そんな厳しい視線があることも知りつつ、プレーを1日サポートしてくれるキャディのお仕事の中身とは?

 

ラウンドのあとも笑顔を絶やさない浅生さん

お話をお聞きしたのは、千葉夷隅ゴルフクラブでキャディを務める浅生ともさん(21歳)。高校を卒業するときに先生に勧められて、この仕事に就いたそう。当然、当時はゴルフの経験はなく、キャディという仕事もまったくわからなかったという。高校時代、バスケット部にいたこともあって、ゴルフ場で体を動かしながら働けるというところに惹かれたが、実際はイメージ以上にハードな仕事に驚かされた。千葉夷隅ゴルフクラブには現在22名のキャディが在籍するが、浅生さんは中堅クラス。今は休日や早番の仕事が終わったあとのゴルフに夢中で、もうひと息まできた100切りが目下の目標とか。

 キャディのとある1

 7:00 出社 その日のスタート時間に合わせてもう少し遅いことも

 「自宅を出る前に制服のアイロンがけをしなくてはなりません。この時期なら着替えを含めて3着くらい。出勤に40分はかかりますから、朝は大変です」

 7:05 朝の準備体操

 「屈伸や伸脚など5分くらい。やるとやらないでは、1日の疲れのダメージが違います」

 7:10 エントランスでお客様の出迎え

 「スタート35分前まではエントランスに立って、お客様のお出迎えをするのもキャディの仕事です」

 8:00 スタートの準備

 「キャディバッグをカートに積み込みます。それぞれのクラブの本数や、ブランド、カバーの有無などを念入りにチェック。プレー中にキャディバッグに入れ間違えないようにします。M2、エピックとかかぶりやすいクラブはシャフトなどまで確認して、不安があればメモしておきます。キャディをはじめて1年くらいは、これを覚えておくことが本当に大変でした」

 8:20 スタート10分前にはティグラインドへ移動

 「暑い日にはいつも持参するものに加えて、保冷袋に入れた氷、麦茶。さらに自分用にスポーツドリンク500ml2本と塩飴を持っていきます」

 8:30 スタート

 「スタートから12ホールの間に、お客様の志向やスキルを読み取るようにします。たとえばティショットを打つときの集中の仕方、周囲の人の雰囲気とか参考になります。また残りの距離の聞き方、たとえば高低差や風の影響まで聞かれるのか、なども目安になりますね」

 9:30 ラウンド中

 「ヘッド同士がぶつかるガチャガチャという音がしないようにとにかく気をつかいます。クラブを何本かもってお客様に向かうときも、カートを運転するときも、この音ができるだけしないようにと考えます。特に注意するのはスプーンやユーティリティなど、長さが近いもの。カバーはつけなくてもいいよ、といってくれるお客様もいます。本来なら手間が省けてありがたいのですが、この音を出さないようするためにはカバーをつけたくなりますね」

 10:30 ハーフ終了

 「お客さまがカートから離れたあと、クラブの本数を確認して、お客様の帽子とグローブを乾燥させるためにカートに吊るします。そのあと社員食堂で休憩、昼食になります。汗をかいた制服を着替えて、スタート15分前にはカートに戻るようにしています。昼休みは短いですが、くつろぎすぎると、かえって午後に疲れてしまうので、このくらいがいいです」

 11:20 スタート

 「お客様とは均等にしゃべるように心がけています。速やかにプレーするためには、フェアウェイをキープできる方よりも、林の中へ入ってしまいがちの方へのケアを優先せざるをえません。ですからフェアウエアにいる方には“すみません、林の中に行ってきます”とひと言声かけをしたり、グリーンまわりや待ち時間に率先してコミュニケーションをとるようにしています」

 12:20 ラウンド中

 「スロープレーにならないように、まずはお客様の先を歩くようにすること。遅れはじめたらさりげなくクラブを手渡す動作を早めたり、カートを早く動かしたりします。またカドが立たない程度に“前が開いちゃっているので…”とか言うようにしています」

 13:20 ラウンド終了

 「カートが戻ったら、お客様とクラブの確認です。スタート前にチェックしていますが、ヘッドカバーの有無などは、あらためてお客様に確認するようにしています。そのあとクラブにブラシをかけてきれいにします。コースに来たときよりもきれいになっているようにしたいですね」

 13:40 休憩

 「早番のときはここで上がりですが、遅番は1時間の休憩後に、セルフでまわったお客様が戻ったときの、クラブの確認やブラシかけをサポートします」

 17:00 明日のスケジュールを確認して退社

 ハーフで3時間超えたときは、後ろの組に謝りにいきました

 Q ゴルフ未経験からのスタート。当時は大変だったのでは?

 A 入社してから3ヶ月くらいは、キャディマスターからの講習が中心でした。2ヶ月目くらいから先輩についてラウンドするようになります。独り立ちして、先輩との接客や対応の差を実感しましたね。きっとベテランキャディさんがつくと思っていたのか、若い私が挨拶したら、お客様にため息をつかれてしまったことがあって。へこみました。

 Q どんなところに違いがあったのですか?

 

浅生さんのコースへでるときの持ちもの。下が暑い日用の保冷袋。氷や麦茶入り。左上が雨に備えるセット

A もちろん当時はコースやゴルフの知識の差はありました。けれどほんのひと言のケアが大きいと思いましたね。たとえばティショットを曲げてOBになった可能性が高かったとします。そこで暫定球を打ってくださいとなります。お客様はボールが残っているかも、と思いますよね。そんなときに、先輩はあの先は斜面になっていてOBに転がっていきやすいんですよと言って、暫定球を打つことを促します。お客様にも気を配りながら、的確で納得してもらえるアドバイスを、咄嗟に口にできる。信頼してもらえるためのプロセスですね。

 Q 今はコースでは中堅のキャディとなって、ずいぶん苦労も減ったのでは?

 A まだまだです。たとえば距離計をもってくるお客様にはちょっと緊張しますね。私たちは5ヤード単位で距離を伝えるようにしています。ところが先に距離を聞かれたあとで、距離計で測られると5ヤード以内で誤差が出る可能性がありますから、ドキドキしますね。距離計の通りですとも答えられませんし。

 Q 最近、いちばんハードだったラウンドは?

 A ハーフで3時間を超えてしまったときですね。キャディとしてお客様を引っ張れなかった私の責任もありますが、とにかく想定外のところにボールが次々と飛んでいって、これまでボールを捜しに行ったことがないエリアばかり。ボール捜しに手間取りました。しかもお願いしてもなかなか打ってくれないし。正直、これはお手上げとあきらめモードになってしまいましたね。

 ハーフが終わって、すぐに後ろの組のキャディに謝りに行きました。そして後半も3時間を超えないようにと気合を入れ直しです。前が開いているので急いでお願いします!と声かけも少し厳しめにしたのですが、30分程度しか短縮できず。後ろの組には申しわけないし、体力的にもかなりハードでしたね。9時間以上ラウンドしていたような感覚でした。後ろの組のキャディさんも知っているお客様だったようで、お咎めがなかったことが救いでした。お客様が楽しく、気持ちよくプレーしてもらえるように、もっと経験を積んで、勉強しなくては。

 

千葉夷隅ゴルフクラブ/なだらかな丘陵地帯に広がる27ホールは、まっすぐいかに遠くへ飛ばすかを追求した本格派コース。『パーゴルフ』誌の読者が選ぶベストコースランキング各部門上位の常連で、特に接客部門では15年連続1位を獲得。その優れたホスピタリティから、キャディの評判も高いコースとしても知られる。千葉県夷隅郡大多喜町板谷588 TEL.0470-83-0211

 

ベストスコアを支えてくれる仕事人/ゴルフ練習場支配人

遠山支配人は日に焼けたスポーツマン風

クルマを駐車場にとめて、フロントでチェックイン。そして打席でストイックに練習。ゴルファーとして、よくお世話になっている施設なのに、ゴルフ練習場のスタッフとコミュニケーションをとる機会はあまりない。一心不乱に練習している私たちの裏で行われているゴルフ練習場のお仕事とは?

お話を聞いたのは東宝調布スポーツパークの支配人、遠山聡さん(48歳)。東宝調布スポーツパークはゴルフ練習場に加えて、ショートコース、さらにテニスコートも併設する複合スポーツ施設。テニスのコーチとして入社。テニス部門の支配人に。現在のようにゴルフ、テニスを合わせたクラブハウスをもつ複合施設となり、4年ほど前からゴルフを含めた総合支配人となった。約50名を率いる支配人といえども、すべての実務を分担しながらこなしている。

出社は9時。早番のときは6時。まずは売上確認などのデスクワークをこなす。フロントのスタッフの手が電話対応などでふさがったら、率先してサポート。機械の不具合を知らせるブザーが鳴れば、急ぎ機械室へ。ボールの詰まった場所を見つけて機械をリセットする。欠けたボールなどが原因でボールが詰まるのだが、湿気の多い梅雨から夏はこうしたトラブルが多いという。

昼食後は外部の業者やスタッフとの打ち合わせ。練習場のイベントやキャンペーンはこうした機会に支配人が決定していく。専門の警備員が入らない日は駐車場の整理にも入る。混雑時の誘導や待機の案内など、数時間にわたり立ち続けることもめずらしくない。テニスコーチを務めてきた経験から、ピンチヒッターでテニスを教えることもあるという。

打席の巡回、ボールのつまりを直すのも仕事のひとつ

あと専門の打席係がいないため、スタッフと手分けをして打席を巡回する。空いた打席のゴミを片つけたり、練習場専用のボール以外で打つといったルール違反がでないようにするために、欠かせない大切な作業だ。退社は19時くらい。遅番なら22時を過ぎる。施設のクローズ後の片づけはスタッフだけでは足りないので、ボールの回収などは大学のゴルフ部員の応援を仰ぐ。バイト代は打席の使用料で相殺しているという。

そんな多忙な練習場支配人が気にしているのは空模様だ。

ゴルフ場の支配人が天候を気にするのは以前も紹介したが、実は練習場の支配人も天気にはとても敏感だ。もちろん天候や気温によって訪れるお客さまの数も変わるので、支配人に限らずスタッフは1日何回も天気予報をチェックする。さらに今年の梅雨は雨が多いか、夏は暑いのかといった長期予報まで見通して、キャンペーンやイベントを準備する必要もあるのだ。

だが、もっとも気をつかわねばならないのが強風と雪。風速20メートルを超えたら練習場のネットを下げなくてはならない。また降雪によってネットに着雪すると、重みでネットが切れてしまい営業できなくなる。また周囲にも危険があるので、この場合もネットを急いで下げなくてはならない。

東宝調布スポーツパークの練習場の場合、周囲の高いネットだけでなく、200ヤードより先は地面もネットになっているため、なおさらネットに気を配る必要がある。雪が軽いのか、重いのか、雪に含まれる水分量まで気にかけているのだ。

台風が関東直撃とか、積雪の天気予報がでたときは、スタッフの一部は夜通し待機することになる。支配人も帰宅後に再び練習場にとんぼ返りしなくてはならない。しかも夜半の積雪、翌日は天候が回復することになると、お客さまは営業していると思って来場することも多い。そのため朝までに営業できる準備を整えておく必要がある。

もしもネットが切れてしまったら、専門業者から取り寄せることに。ところが雪の翌日は業者もパンクしてしまうので、まずはネットが切れないようにいかに工夫するかに苦心する。東宝調布スポーツパークはショートコースを併設しているため、散水用の大型ポンプが設置されている。それをフル活用することになる。

太くて長いホースを何本もつないで、ネットや地面に放水して雪を溶かしていく。その様子はまるで消防士さながらだ。ネットの雪を溶かし、人工芝にも放水してボールが回収できるようにする。もちろん駐車場の雪かきもすませなくてはならない。ゴルフやテニスのコーチまで、急遽、手伝いに参戦することもある。こうした限られたスタッフによる、夜通しの突貫作業が降雪時にはあるという。

ラウンドする機会が限られるアマチュアゴルファーにとって練習場はなくてはならい存在。私たちがいつでも練習に励める環境を作るために、陰ながら支えてくれるお仕事がある。

東宝調布スポーツパーク/230ヤードのレンジは1F30打席、2F30打席。各打席全自動ティアップ機を備える。さらに2Hでドライバーが使用できる9Hのショートコース、天然芝アプローチ、バンカー練習場も併設。混みあう週末の待ち時間は長くても40分目安。打席料が1時間300円。ボール料金は平日13円~、土日祝が16円~。打ち放題料金などあり。営業時間/平日6:30(12~3月7:00)~22:00、土日祝6:00~22:00 ●東京都調布市多摩川2-29-1 TEL.042-444-0007

DE TRAVEL AGENCY/家族も満足させられるゴルフトリップ vol.2

ホテルキーフォレスト北杜( 山梨県/八ヶ岳・小淵沢)

大自然に囲まれたヴィラで深呼吸を

ヴィラ・キーフォレスト北杜のエントランス

斬新で前衛的な外観が特徴的な「ホテルキーフォレスト北杜」。「小淵沢アートヴィレッジリゾートアンドスパ」の施設内に併設するホテルからは、八ヶ岳や南アルプス、富士山などの山々を一望できる。

山梨県・北杜市の自然からインスピレーションを受けた客室は、温かみのあるアンティークなインテリアで統一。清らかな湧水、肥沃な土、繁茂な植物、明るい太陽の光、澄んだ空気と壮大な山々をコンセプトにした、個性豊かなお部屋ばかりだ。

ヴィラのベッドルーム

ホテル棟から徒歩5分ほど離れた場所にある「ヴィラ・キーフォレスト北杜」は敷地内にたった2部屋のみの贅沢な空間。杜の中にひっそりと佇むヴィラで、周囲に気兼ねなく家族での時間を過ごせる。

広々と開放的なテラス

自然に囲まれた客室には、広いテラスにデッキチェアを完備。澄んだ空気に包まれながら深呼吸すれば、日頃の疲れも吹き飛ぶくらいリラックスできるに違いない。ハイセンスな空間に共感できるモダンなファミリーにおすすめ。

ディナーもハイクオリティだ

 

山梨県北杜市小淵沢町10248-16

tel:05-5136-8755

http://www.artkeith.com/

 

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